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季論21

2020年 夏 45号

『季論21』編集委員会 編

特集:学習指導要領改訂がもたらすもの

道徳の教科化が、それほどの抵抗もなく、粛々と、あるいは着々と進行している。その事態の異常さ、危うさを、今一度、率直に指摘しておきたい。少なくとも、戦後およそ半世紀、道徳の教科化には、世論も、教育学世界も強力に反対し、それを強行することはできなかった。ところが、教育の政策決定の仕組みの根本的な改変――教基法の改定、教育行政の性格の改変、安倍首相の意向をストレートに教育政策決定の審議ルートに乗せる諮問機関(教育再生会議等)の設置など――を介して、一挙に、道徳の教科化が導入された。そのことは、重大な公教育の質の転換を引き起こしつつある。

【特集】学習指導要領改訂がもたらすもの
道徳の教科化による公教育の質の転換/佐貫 浩(教育学)
学習指導要領と歴史意識の形成 歴史教員として考えること/丸浜 昭(歴史教育)
「資質・能力」論の危険性/池谷壽夫(教育学)

2015年ネパール大地震後の復興支援とその問題点/鹿野勝彦(文化人類学)
アメリカとリベラル国際主義/坂出 健(欧米経済史)
国連子どもの権利委員会「2019勧告」と教育の課題 「あまりに競争的な」のメッセージをどううけとめるか/児玉洋介(東京総合教育センター所長)
大学生5200人は「戦後現代史」をどう見ているか?/草川剛人(「戦後世界史市民ネット」世話人)
どうすれば街中の水辺は甦るか 川崎市・江川の取り組み/田辺勝義(旧江川の水と緑を考える会)
満州731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会の活動報告/鰺坂 真(「求める会」共同代表)
別役厚子『貧困と教師 東京市万年小学校をめぐる苦悩と葛藤』 別役氏が書かなかった・書けなかった課題の考察/和田 崇(日本近代文学)
連載(2)ドイツ史学徒が歩んだ戦後/望田幸男(ドイツ近現代史)
掌編小説「吠えろ」/佐藤光良(作家=故人)
23年前、55歳で没した短編の名手・佐藤光良/鶴岡征雄(作家)
【書評】
友寄英隆著『AIと資本主義』/大西 広(中国経済)
浅井良夫他編著『中村政則の歴史学』/今井 修(日本近現代史)
《私の読んだ本》
十名直喜著『企業不祥事と日本的経営』/松浦 章(企業社会論)
【観測点】
インドの総選挙/岡田則男(ジャーナリスト)
すすむ大相撲の世代交代/杉山邦博(大相撲ジャーナリスト)
新しき明日の来るを信ず/宮城義弘(ジャーナリスト)
【資料】この国は本当に民主主義国家なのか
第198国会における参議院予算委員会公聴会(2019年3月12日)での発言/前泊博盛(沖縄国際大学大学院教授)
グラビア まもれ! 沖縄の民意/藤田観龍(写真家)
読者のひろば
グラビア解説
編集後記

判型・頁数 A5判・216頁
定価 本体926円+税
ISBN 978-4-7807-1859-1
出版年月日 2019年7月20日

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